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旅館業許可と他の法律等の留意事項

旅館業の許可を得るためには、他の法令、自治体の条例・要綱なども考慮する必要があります。

つまり、窓口は保健所以外にも複数の手続や確認・調整が必要となります。こうした手間も、行政書士(あるいは弁護士)に依頼するメリットのひとつではないかと考えます。

以下、ざっと例示しますと・・・

・都市計画法

都市計画区域内の用途地域によっては、旅館業開業ができない地域がありますので、注意が必要です。

・建築基準法

住宅他建築物には、「建築確認」という行政手続が取られております。住宅をホテル旅館等の宿泊施設に転用する場合、規模によって、「ホテル旅館」としての「建築確認の変更」を行う必要が生じる場合もあります。通常の住宅の場合は、必要なしとなる場合もありますが、この点も留意が必要です。

・消防法令

消防法令に適合している旨の通知書(一般に「消防法令適合通知書」といいます。確認の上、交付。)が必要となります。宿泊施設に必須の設備もあるため、必要により、資格者(消防設備士)による設備の備え付けを要します。消防署によっては、規模の小さい施設(防火対象物)であっても、消防設備の設置について、事前の書類が求められる場合もあります。

・水質汚濁防止法

旅館業法による営業(下宿営業、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業を除く。)では、ちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設を備える場合、同法施行令で「特定施設」とされているため、水質汚濁防止法に基づく、特定施設の届出を行う必要も生じます。

※令和2年12月19日より、水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第538号)が施行され、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業についても、水質汚濁防止法に基づく特定施設から除外されました。住宅宿泊事業については、この特定施設の届出は不要です。改正前に届出済みの事業者様が廃止の届出をする必要はありません。また、いわゆる特区民泊については旅館業の対象となるため、特定施設の届出が必要となる場合

・各地方自治体の条例・要綱等

例えば、京都市の場合、バリアフリー条例に関する配慮が必要な場合もあります。京都市はじめ各自治体独自の要綱によって、手続の上で、各種の要件や対応(京都市の場合、標識の設置、地元説明など、同市の「安心安全要綱」に基づく対応。)を求められる場合もあります。

【その他】旅館業法の特例関係

特区民泊、農家民宿の特例、住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)、旅館業法の特例(いわゆる「イベント民泊」)

ほかに、特区民泊(国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第13条第1項による「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」をいいます。)のように旅館業法と扱いが異なるもの、農山漁村における民宿・体験宿泊施設(農家民宿、グリーンツーリズム)として登録することで、特例を受けることができるもの(農山漁村余暇法の適用。旅館業法の許可要件等の緩和措置があります。)、住宅宿泊事業法による届出(旅館業法の対象外)による住宅宿泊(民泊サービス)の営業(提供日数は年180日が上限となります。)もあります。

なお、年数回のイベント開催時に開催する地方自治体の要請等により、自宅を有償提供するような場合に、「旅館業」に該当しないとする旅館業法の特例(イベント民泊)が認められ、許可を得ずに宿泊サービスが提供できる場合もあります。

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